ケンジツ

育児や読書の内容などを気ままに書くブログ。最近は仮想通貨にハマっていて、調べたことを記事にしています。

書評 VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学 VRの近未来がわかる本

VRの近未来を想像できているかどうかで、今後仕事のしかたや世の中への感度が変わると思っている。

ちょうどスマホがでてきたばかりのときに、ガラケーにとどまった人と、すぐに乗り換えて積極的に活用していった人では、生活スタイルが大きく違ってきた。また、仕事に活かせるかどうかは、会社の業績を大きく左右することになった。

 

スマホが出る前にいまのような普及具合と便利さを理解できていたのはごく一部だった。

いまから10年前にスマホの可能性に気がついていた人がすごいメリットを享受したように、いまVRやARの将来性に着目して、それを必ずくる未来と信じていまから準備できればきっと成功できる。

 

この本、VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学は、VRが人間の脳や心理にどんな影響を与えるかを大学で最先端のVRを研究している人が、実験結果をふまえて語っている。

 

Facebookの創業者であるマークザッカーバーグなど、シリコンバレーの要人も彼のラボに最新のVRを体験しにくるらしい。

 

VRといってもOculus GoオキュラスゴーやViveやプレイステーションVRなどの視覚と聴覚だけのものではなく、地面の揺れなども含めた全身の体感を含めたものだ。

高度なVR体験は脳が現実と区別がつかない。恐怖体験を経験させるとそれを逃れるために、VR体験中にもかかわらず、壁に向かって全力で走り出してしまう人もいるようだ。

 

視覚だけなら、いまの技術の画素数でもまったく現実と違いがない。

特に興味深いエピソードだったのが、プロのアメフト選手が練習にVRを使い、戦績を改善したという話だ。

アメフトは膨大な数の戦術がある。クオーターバックという司令塔的なポジションの人は、一瞬で相手の戦術を推測して自分たちがどんな動きをするか決めて、次の行動を判断する。

あまりにも複雑なうえに、次々と新しい戦術が生まれていくため、シミュレーションするにも時間が足りなくなりがちだったそうだ。

 

それまで試合の様子を録画したビデオで選手は研究をしていたが、それをVRに置き換えることで、質が非常に向上した。

ビデオを見て分析するのと違って、VRは本当の試合と違いなく状況を体験できるため、本人の経験として蓄積される。

体を動かさなくても膨大な量の体験をすることができるので、VRでの練習を組み込んだ選手は、試合でもよい結果を出せるようになった。

 

これからどんなスポーツでもVRが導入され、過去の動きをデータとして蓄積したものを体験できるようになるのだろう。

スポーツに限らず仕事でも導入されるのが見えている。最近ウォルマートで従業員の研修向けに大量のVR機器が導入されたニュースが出ていたが、ウォルマートのような店舗勤務の人の研修、店内オペレーションのシミュレーションでは欠かせないものになっていく。

 

ほかにもホワイトカラーの交渉のための打ち合わせ、医療や製造業の現場での精緻な動きの教育などにも使われるようになる。

 

また、倫理の観点から暴力性の高いコンテンツの取り扱いについても触れている。2Dのテレビやパソコンでやるゲームは、どんなにリアルに近づけた描写があっても、それはあくまでも仮想のものと理解しながら進められる。

一方でVRだと、強烈な経験としてまったく違ったレベルで記憶される。あまりのインパクトに、それが仮想の相手、ゲームのキャラクターだとわかっているのに、攻撃するのをためらう人がでるほどだ。

 

 

とにかくVRの将来性を感じられる一冊だった。

すぐにでも業界に飛び込んで、仕事に活かしていきたい。ただ、一方で本格的に研究している会社や大学などと戦って勝てるフィールドはどんなところにあるのか悩ましいところではある。

付け焼き刃で技術者でもない自分が、中途半端にかかわって何か世の中に貢献できる分野があるかをこれから探していきたい。

 

スマホのように誰もが当たり前にVRを使うようになる前提にたてば、膨大な市場やニーズが出現するわけなので、どんな人でもかならず自分の経験やスキルを活用できる部分も見つかるはずだ。

 

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学