オンデーズ社長の田中修治さんが書いた破天荒フェニックスがすごく良かったので紹介。
売上20億円、負債14億円、しかも赤字2億円で、倒産寸前の異常な状態で前の経営陣から企業を買収し、立て直すまでのストーリー。
銀行から一切追加の借入をできない状態で、資金繰りに苦労しながらさまざま策をヒットさせ、なんとか再建していくまでの過程が赤裸々に書かれている。
気合を入れて出した路面店に客が入らなくて青くなるようなシーンや、企業を買収したらその会社の元社長が従っているように見せて実は裏切っていたエピソードなど、さまざまなピンチが次から次へとやってきては乗り越えていく。
諦めずにどうにか起死回生のホームランを狙うためにリスクをとろうとする田中さんと、資金繰りを担当していて会社のキャッシュフローを保つために試行錯誤している奥野さんのやり取りが繰り返される。
そこそこ上手くいきはじめたプロジェクトがあっても、すぐにその成功をふっとばしてしまいかねないリスクをとって次の新しい挑戦をしていく田中さんの姿勢がとにかくすごい。
事実をベースにしているせいか、大量のトラブルのエピソードがてんこ盛りで、どんな経済小説よりも面白く先に読み進められた。
感動して涙が出てくるシーンも多かった。修羅場みたいな案件に携わることになって、不安やストレスで夜眠れなくなったことがあるビジネスマンほど共感できるところが多いと思う。
書き方も非常に上手く、田中さんは経営者だけでなく小説家としてもすごい。
とても熱くエモいので押し付けがましく自慢っぽくなりそうところを、一歩引いた目でドライに自己評価している部分や自分の弱さを露呈する部分が混ざっていることで回避している。バランス感がとてもよいと思った。
読んでオンデーズでいつか買い物したくなったので、これから必須になるマーケティングの考え方のストーリーでモノを売るということを体現している本だ。
ありのままを伝える広報で共感を得て、ファンを増やし、買い物してもらう。
社員の方々のSNSの活用方法を見ていてもこの考え方を実践しているのがわかる。
気合い入れて本気で働いているすべての人にオススメの本だった。
以下は少しネタバレなので、嫌な人は読まないでください。
藤田光学の藤田社長という方が田中社長を助ける役回りとして出てくるだが、この人の器の大きさがすごい。
自分が見込んだ人である田中社長をとことん信頼してなんでも肯定して全力で支援する。
こんな人と一緒に働けたら幸せだろうなと思う。