ケンジツ

育児や読書の内容などを気ままに書くブログ。最近は仮想通貨にハマっていて、調べたことを記事にしています。

職場の力学がわかるだけでなく生き方を考え直すきっかけにもなる良本「天才を殺す凡人 北野 唯我」

「天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ」が最高によかったので紹介。

 

天才、秀才、凡人をそれぞれ、創造性、再現性、共感性を物事を評価する人という分類をしており、なぜ天才が世の中で埋もれてしまうのかが説明されている。

 

天才社長のもとで働いている仕事に悩む男性のもとに、ハチ公が会話できるようになって訪れて、悩みを解決していくストーリー形式になっている。

実際の会議の現場でもありそうなやり取りがリアルで解説を理解しやすくしている。こんなにわかりやすく説明できるなんて良質なストーリーの力はすごい。

 

以下は気になった部分のメモ。引用に近い。

・天才はアート、秀才はサイエンス、凡人はクラフトを担当。それぞれ評価や議論の軸が異なるため、噛み合わないことがある。

・組織の飽きをモチベーションにした、世の中の余白に対する天才の指摘によって革新的なイノベーションが生まれる。

・サイエンスとアートを議論させてはいけない。サイエンスのほうが説明しやすいため勝ってしまう。

・アート、天才のアイデアは反発の量で評価する。広く浅い反発と、狭くて深い支持の比率で、狭くて深い支持が2割くらいのものがよい

・常に飽きを満たしてくれるような、心が燃えたぎるような余白を天才は求めている

・人は借り物の言葉ばかり使って話している。自分の言葉で説明しなくては伝わらない。

・凡人が天才を殺して秀才をトップに置こうとするのは、かならずしも間違いではない。組織のステージによっては正解なタイミングもある。ただし、ずっと天才が創造性を発揮しないままなら、その組織はそのうち滅びる。

 

この本のすごいところは、誰もが自分や会社のメンバーがそれぞれどのタイプの人間なのかを想像しながら読めるところだと思う。

まだ働いたことがない人でも、クラスや部活やサークルなど、集団に属したことがあるはずで、どんな人でも自分は天才、秀才、凡人のどこに属しているかを考えるだろう。

 

自分はどのタイプなのかを知ることは、客観的にできないのが残念なところだが、人間関係において自分や相手のタイプを推測しながら行動することは役に立つはずだ。

 

誰もが3つの要素を併せ持っていて、比率の違いでしかない。

自分の得意なことは何で、どう生きていくかを考えるきっかけになるとても良い本だった。

 

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

 

 

 

天才がつくり、秀才が再現性をもたせて、凡人が広めていくという考え方は、似たような話を以下の「成功者の告白」でも読んだ。

 

成功者の告白 (講談社+α文庫)

成功者の告白 (講談社+α文庫)

 

 

以下の「はじめの一歩を踏み出そう」という本では、起業家、マネージャー、職人という分類をしていて、それぞれがアート、サイエンス、クラフトを担当している。 

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

  • 作者: マイケル・E.ガーバー,Michael E. Gerber,原田喜浩
  • 出版社/メーカー: 世界文化社
  • 発売日: 2003/05/01
  • メディア: 単行本
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このように、さまざまな似た論はあるものの、それぞれで少し分け方が異なっているのが面白い。

 

著者の北野唯我さんは後半で、あまり細かく分類すると覚えきれなくなるし、わかりにくくなるため実践されづらくなるから、あえて3つだけに分けたと明言している。

とても記憶に残りやすい本だったので、今後会議で議論の軸がずれたときに、思い出して自分の役割を振り返ることになりそうだ。