30年以内くらいにシンギュラリティが到来するという話を多くの研究者や経営者がしています。
シンギュラリティとは技術的特異点のことで、人工知能が人間の能力を超えて、自ら学びだすことで、爆発的にできることが増えはじめるポイントです。
人工知能やシンギュラリティに未来を感じていて、興味があって最近いろいろな本を読んでいるのですが、この本「そろそろ、人工知能の真実を話そう」はフランスの哲学者が書いていて、哲学、文化、宗教などもまじえて人工知能について語るという変わった内容でした。
たいていシンギュラリティについて書かれた本は、成功したエンジニア、起業家、研究者、IT系の投資家などが多く、哲学者が書くというのは異色です。
この本はシンギュラリティの議論のおかしさを羅列しており、シンギュラリティはこないという結論を出しています。
人間ちょっと先の未来を予測できる人なんていないので、将来どうなるかわからない技術発展をこないと断定するのは微妙だと思うのですが、この本の議論の積み重ねはけっこう説得力があって、たしかにシンギュラリティの議論はおかしいというか、夢物語な部分もあるなと感じました。
ムーアの法則という1.5年で半導体の集積率が2倍になる、つまり性能も2倍近くなるという過去の事実や経験から導き出された法則があります。
このムーアの法則をはじめとして、シンギュラリティはずっとコンピューターの計算性能が向上し続ける前提で議論されていますが、実はずっと同じペースで性能の改善が続くなんてことはなく、そもそも前提が怪しいというのはその通りだと思いました。
仕事がIT関連なので、けっこうビジネスに直結してくるのですが、盲目的にシンギュラリティの到来を信じていつか来ると考えながら行動するのと、実現するかどうかはわからないと疑いながら行動するのでは、取る選択肢も変わってきますので、その点でもこの本を読んでよかったです。