ひふみ投信を運営するレオス・キャピタルワークスのファンドマネージャーの藤野英人さんが書いた投資先の会社を見極める方法についての本、「投資レジェンドが教えるヤバい会社」を読みました。藤野さんは過去に6,500人以上の社長と会っているそうで、会社を見分けるプロです。
投資の本というと、株価のチャートを見るテクニカル分析や、会社の財務情報を確認するための損益計算書や貸借対照表や、ROEやPBRといった指標のチェックについて説明されていることが多いですが、この本はそういった数字についてはあまり触れられていません。
投資だけでなく、仕事でまともな取引先を見極めるためにも使える本だと思いました。
数字以外のちょっとしたことで会社の本質を見抜く
決算書の数字以外で、会社の状態を見抜くには、社員の言動を注意深く観察して、伸びる会社に共通した特徴を見つけ出すというのが主旨の本です。企業を訪問したときに、その会社のビジネスモデルや業績ではなく、人となりを見ることで未来を予測するというのは、ほかの投資家と差をつける要因になりそうだなと思いました。
アナリストが書いたレポートとか、会社が出しているIR資料だけを読むのと、現場に足を運ぶのでは情報の質も量もかなり違ってくるためです。
「サラリーマン社長はダメ」、「30代、40代の若い社長のほうが良い」、「社長自ら情報公開しない会社は売り」、「豪華な新社屋に入居した会社はその時点が株価のピーク」、「美人すぎる受付嬢がいる会社は問題がある」、「社長が高級外車に乗っていたらダメな会社でないか疑う」などの、直感的にそうだろうなとわかりやすいものもありますが、面白いなと思ったのは、一見関連性がなさそうな要因です。
「お茶を飲み干す社長の会社は、株価が上がる」とか、「社内でスリッパに履き替える会社に投資しても儲からない」というような、本当に会社の業績に関係あるのかと疑問に思うような法則が並んでいます。ただ、説明を読むと納得できます。
お茶をすぐに飲み干す社長のほうがエネルギッシュで成果を出しやすいとか、たくさんの会社を見てきた藤野さんならではの着眼点です。
会社のサイトでも業績の伸び率が予測できる
直接社長やIR担当と面談しなくても、その会社のサイトやIR情報から知ることのできる情報でもよい会社と悪い会社の判断はある程度つきます。
以下のようなチェックポイントがまとめられています。
役員、顧問、相談役などがたくさんいる会社は駄目
社長や役員の顔写真があるかどうか。ある会社のほうが業績がよい
役員の女性比率はどれくらいか。購買の意思決定者が女性なのに、役職者に女性が少ない会社はよくない
会社のサイトの表現が、私、私たちなどになっている会社は、弊社と書いている会社よりも株価があがりやすい
社名に漢字が入っていない会社のほうがパフォーマンスは高い
社会に貢献している会社が伸びる
最後のほうのページでは、会社がいかに社会貢献しているかという観点でも語られています。やはり社会に良い影響を与えている会社のほうが長期間伸び続けるという結論です。
社会貢献と成長を両立できる会社にこそ投資すべきという考え方はその通りだと思うので、今後は意識して投資していこうと思います。
本で語られているような内容が一部記事になっていました。