副業としての仮想通貨マイニングについて調べてみた。
そもそもマイニングとは?
すごくざっくりとした説明だと、仮想通貨の維持のために自分のコンピューターの計算能力を提供して、そのかわりに報酬をもらうこと。
ビットコインも含めて、多くのアルトコインがセキュリティを高めるために常に膨大な計算量が必要になるPoW(プルーフオブワーク)という仕組みを導入している。
すごく簡単にいうと、とにかくたくさん計算しないといけないルールをつくり、それを1人で計算しきるのはほぼ無理なので、誰かが自分が持っているコンピューター群の計算能力だけで勝手に書き換えたりできないようにしている。
これが誰か1人が持っているコンピューターの計算能力だけで書き換えられれてしまうとすると、ビットコインの支払いの履歴を勝手に変更できることになってしまう。
マイニングがなぜ副業に向いているかというと、一度設定して放置しておけば、何もしなくても毎月コインが収入になるからだ。
手間がかからない。電気代の支払いと、機械が壊れたときのメンテナンスだけすればよい。
ただし、やり方を間違えるともらえるコインの価値よりも電気代のほうが高くなってしまう赤字状態になるので注意が必要だ。
マイニングがどのようなものかをもっと詳しく知りたいなら、ビットコインの仕組みを解説している本を1冊読むとよい。
ほとんどの本で丁寧にマイニングがどう動いているかが説明されている。
ビットコイン・仮想通貨に投資して稼ぐことがメインテーマのムックや本の場合、マイニングについて触れられていないか、きちんと説明されていないので注意。
やり方3つ
1.専用の機械を買う(ASIC エーシック)
2.自分でグラフィックボード(GPU ジーピーユー)を買ってきて専用のPCを組む
3.持っているパソコンのCPUでマイニングする
計算方式ごとに使われている機械、掘れるコインの違い
端末によってマイニングできるコインが違う。アルゴリズム、つまり計算の仕方が異なっているため、機械の種類ごとに掘れるコインは制限されている。
ASIC エーシック
上記サイト画像はBitmainの販売サイトから引用(常に売り切れ状態) https://shop.bitmain.com/
ASICはマイニングに特化した機械だ。
主にSHA-256という暗号の計算方式で、この方式を採用しているコインしか掘れない。
GPU(グラフィックボード)はゲーム用パソコンでの高画質をより早く描画するなど、ほかの用途のために作られたものだが、ASICはマイニングにしか使えない。
ASICで掘れるのはビットコイン(BTC)やビットコインキャッシュ(BCH)やライトコイン(LTC)など。メーカーの数が限られているうえに、あまりにも人気で在庫がなく手に入らない模様。
ebayなどのオークションをチェックしても、Bitmainというメーカーの公式サイトに記載のある値段よりもはるかに高い値段で販売されている。
実際に販売されている機械としては、大手メーカーのBitmainが出しているANTMINER S9、ANTMINER L3+などが有名。
GPU ジーピーユー
GPUで掘れるのはイーサリアム(ETH)、イーサリアムクラシック(ETC)、ゼットキャッシュ(ZEC)など多数。GPUだけでなくマザーボードやCPUやライザーカードや電源なども含めて買ってきて、自分で専用PC(マイニングリグ)を組み立てる必要があるためハードルが高い。また、1台でGPUを6~8枚程度つかうので、専用のラックも用意したほうがよい。
発熱がすごく、端末の温度が高くなるため、以下の画像のように、ぶら下げるなどして外気と触れる面積を多くする。
ただ、それをしても部屋の気温は上がってしまう。冬はいいが、夏はつらいかもしれない。
何台も運用する場合には、ファンを用意するなどして空気の流れをつくらないといけない。
家の上限のアンペア数が足りてない場合は、電気の容量を上げる必要がある。
ボードについているファンが壊れてしまい、熱を持ちすぎて部分的に溶けてしまったなどの話も聞くのでたまに状態をチェックしないと危ない。
どのアルトコインを掘るか、OSの設定なども必要。
GPUの種類としては、GeForce GTX 1080Ti/1060Tiや、Radeon RX 580/570などが搭載されたものがよく使われている。
CPU
CPUで掘れるのは、モネロ(XMR)、Bitzeny(ZNY)などがある。 カスタマイズしていない普通のパソコンで掘れるので、もっともはじめやすい方法と言える。
ただ、その分参加できる人も多いということなので、掘っても電気代のほうが高くなってしまいそうな収益性に疑問があるコインが多い。
CPU Coin ListというサイトにCPUでマイニングできるアルトコインの一覧がある。
どういうルールなのか?
ナンス値とか暗号の専門用語みたいなのが多いとわかりづらいので、端折って簡単に説明する。
ビットコインのアルゴリズムで説明すると、ある文字列を入力すると、あるルールに従って別の文字列を返す暗号があり、その戻ってくる文字列が既定の値より小さい、つまり最初に0が既定の数以上ならんだ数字を最初に発見したマイナーが12.5BTCをもらえる仕組み。
ただ黙々とさまざまな文字列を暗号にあててみて、たまたまアタリの文字列が出るまでひたすらたくさん計算するという作業をコンピュータにさせる。
報酬額の部分はいま12.5BTCなだけで、既定のブロック数に到達するごとに半分になっていく。
どうやって開始するのか?
ビットコインの場合、当たるのは天文学的な確率で難易度が高すぎるので、普通に自分の端末1つだけでやってもまったく掘れない。一生かかっても一度も当たらないだろう。
なので、マイニングプールという計算リソースを外部から集めているサイトに登録して、計算リソースを提供してマイニングする。
マイニングプールがどういう仕組みかというと、みんなでコンピューターの計算能力を寄せ集めて、そのまとまった計算能力でマイニングに取り組み、当たったら胴元が手数料をぬいて山分けするというものだ。
1人あたりに配分されるビットコインの量はものすごく小さくなるが、1人で自分のコンピューターだけで計算していたら一生かかっても一度も当たらないわけだから参加せざるを得ない。
個人の副業ではなくて、GMOやDMMのように会社で取り組みする場合には、何千台~何万台とコンピューターを集めた工場のような場(マイニングファーム)をつくり、そこで計算して自力であてるという方法もあり得る。ただ、かなり規模が大きくなり、初期の投資金額も10億円以上にはなるだろう。
中小規模のマイニングファーム(マイニング専門の施設や会社)の場合、どこかのマイニングプールに参加しているだけだ。
マイニングプールはとりあえず大手のところに登録しておけばよい。
以下のページで大手のサイトはわかる。
ビットコインハッシュレート分布 - Blockchain.info
ただ、英語か中国語しかなくて日本語に対応していないところばかりなので注意。
あと、登録して端末側の設定が終わっても、ウォレットアドレスを登録していなければ当然送金されてこないので気をつけよう。
また、マイニングプールもGOXする可能性がある。比較的最近もNicehashという大手マイニングプールがハッキングされて溜まっていたコインが流出した事件があった。使っていた人の自己責任だ。何台かで運用するのであれば分散させて複数のプールに登録するのも検討したほうがよいだろう。
結局稼げるの?
肝心の利益がでるかどうかだが、 まず購入した機械一式の代金が必要、その後電気代がマイニングしている間ずっと増え。あとはマイニングプールの手数料がかかる。
マイニングプールの手数料は差し引かれた状態で掘られた仮想通貨が配分されてくるので、あまり気にする必要はない。
配分されたコインから電気代をさしひいたものが利益になる。まず第一に掘るアルトコインを選び間違えると、この時点で赤字になる。
毎月の利益がでるようなら、購入した機械一式の費用を回収できるまで維持できそうかが基準になる。
同じ機械を使っても、掘れるコインの量は毎日変動している。
基本的に参加者が増えれば増えるほど採算性が下がっていく。
しかも日本の電気代は高いので、海外の安い電気代で同じことやってる人たちとの競争になると負けてしまう。海外勢よりも先に赤字になって撤退することなる。
この記事の執筆時(2018年1月26日)ではASIC、GPUともに利益が出る。機械の代金の回収まで6-12ヶ月見ておけばだいたい回収できるのでないか。
ただ、チップの研究開発がすごい勢いで進んでいるので、新しく計算速度の早い機械が発売されて普及していくと、それが原因で採掘難易度(ディフィカルティ)が上がってしまい、急に掘れなくなるかもしれない。電気代のほうが掘れるコインの時価よりも高くなってしまったら続けられない。
しかし儲かるということがわかりきってるので、ASICもGPUも品薄状態が続いており、なかなか買うことができない。値段もあがってきている。
面倒な人はクラウドマイニングもありなのか?
専用の機械を買ってきて設定したり、パソコンを組み立てて設定したりする必要があるので、自作パソコンを作ったことがある人やエンジニアは別として、何もやったことがない人にとってはかなり難しく感じるし、面倒に感じるだろう。
そんな人のためにクラウドマイニングというお金を払ってマイニングの計算リソースを買うサービスがある。これはクレジットカードなどでお金を払うと、料金プランごとに決められた量と期間の分だけ計算リソースを提供してもらえ、その計算リソースで掘ったコインをもらえるというものだ。
はっきり言って怪しい会社が多いので注意が必要。お金払ったあとにその会社が突然営業を止めてしまうこともありえる。
また、自分で機械を用意してマイニングするのとくらべて採算性は下がる。
でも最初の組み立ての部分は時間がかかるし、置いておく場所を確保しないといけないし、毎日ASICやGPUの稼働状態をチェックしなくてはいけないしで、手間賃だと考えれば仕方ない部分もある。
税金は?
まったく責任とれないので、自己責任で税務署や税理士に各自相談してもらいたいが、調べたことや考えたことをまとめる。
税金は国税庁のサイトによると、マイニングで取得した時点の時間を所得として計算するということになっている。電気代や機械の代金は経費として指し引ける。
毎日もらったコインをその日の時価がいくらでとか計算するのは手間がかかりすぎるので、実際は毎月1回計算する日を決めて、前月に取得したコインの総量をその日の時価で計算するというような運用になるのではないか。
ここらへんは税務署側の知見が溜まってくるまで、たぶん担当職員や地域によって見解がバラバラになりそう。地方によっては円建てで利確するまで課税しなくてもよいという見解になるところすらあるんじゃないか。
はやくマイニングについて規制してルールを整備しないと、課税逃れだらけになるだろう。
なぜかというと、KYC(know your customer)、つまり免許証やパスポートなどの個人認証と関連づけられていないウォレットアドレスをいくらでも作れてしまうからだ。
Blockchain.infoやMyEtherWallet.comみたいなオンラインウォレットのサイトであれば、誰でも名前どころかメールアドレスすら明かすことなくウォレットアドレスが作れてしまう。
こういったところにマイニングされた通貨を直接送られると、誰がいくら分コインを掘ったのかは捕捉できないだろう。
マイニングプール側でKYCを必須にする運用をしても、ほとんど海外のサイトなのでどこも守ってくれないだろう。なので日本国内で法律をつくって届け出必須にするなどの規制するしか制御する方法はないかもしれない。個人が1台パソコン組んでマイニングしてるのまで取り締まれるとは思えないが。
ただ、あとから追徴課税されたりすると困るので、私がマイニングを開始したあとにはトレードの分と一緒に確定申告しておくようにしておくつもりだ。