アメリカのトランプ大統領が就任からさっそくハイペースでいろいろな決定をしています。
スピード感あるのはいいのですが、世界の不安定化を加速させてますね。
実際に大統領になったら少しはまともになるのではないかという楽観論は粉々に打ち砕かれました。
今後どうなるのかを考察するためにも、彼が決めたことを整理してみます。
難民受け入れ一時停止
テロ対策の強化を名目に、120日間は難民の受け入れを停止すると決定しました。
また、シリアからの難民は受け入れを当面停止する考えを示しました。
さらに、イラク、イラン、ソマリア、スーダン、イエメンなどの懸念地域からの入国を90日間停止。また、2017年の難民受け入れを5万人に抑えるとのこと。
選挙前から移民に対して排外的な政策をするということは公言してましたが、かなりスピード感を持って実施してきました。
【トランプ大統領始動】テロ対策で大統領令 難民受け入れ凍結 - 産経ニュース
これに対してイランが猛反発。せっかく少しずつ関係が良くなってきたのに帳消しになってしまいました。
「北風と太陽」の童話じゃないですけど、逆にお互い強硬な姿勢になってしまうのではないかという意見があり、その通りだと思います。
実際テロは移民ではなくアメリカ国籍で教化されてしまった人間が起こしているようなので、テロリストがむしろ活動しやすくしただけなのではないかと考えます。
憎しみが憎しみを生む流れになってしまいますね。
あまりにもひどい決定なので、アメリカ国内でも揉めていて、司法で無効と判断されています。こうして歯止めがかかるのはアメリカのいいところですね。
移民の社員が多いFacebook、Google、Twitter、Microsoftなどの大手企業でも、続々と反対する声明が出されています。
イスラム国(IS)掃討の推進
イスラム国を掃討するための大統領令に署名し、マティス国防長官に30日以内に掃討計画を提出するよう指示。
政府職員の退職後5年5年以内のロビー活動禁止
完全に消すことはできないですが、癒着や汚職を減らすいい案だと思います。
既得権を減らす方向の案もちゃんと出しているのは偉いです。
環太平洋連携協定(TPP)の離脱
TPP離脱は選挙中から公約のように掲げていました。
当選したらいくらなんでも様子見しながら妥協案を探るのではないかという意見も結構ニュースで流れてましたが、トランプ政権は予定どおりすぐ実行しました。
自国の産業を守ろうとする保護主義的な政策です。日本もあまり人のことを言えないですが、支持率を上げるための内向きな施策です。
日本とアメリカ間の新しい自由貿易協定(FTA)締結については方向性が見えておらず、日本にとっては不利、中国にとっては良い方向に働く結果となりました。
2月上旬には首脳会談が行なわれる見込みで、そこで何かしらの経済協定について話がされるでしょう。
メキシコとの間に壁を建設
メキシコからの不法移民を防ぐための壁の建設について選挙前に話していましたが、本当に大統領令に署名しました。
なお、費用はメキシコからの輸入品に20%の税をかけることで、充当するという方針だそうです。
この記事の中でも指摘していますが、別にメキシコ製品が一律20%安くなるわけではなく、アメリカの国民が20%高く買い物しなければならなくなるだけです。負担するのは自国民なのに、伝え方で不誠実というか、馬鹿にしているんでしょうかね。
排外主義が完全に世界中の脅威になりつつあります。
メキシコの大統領は会談を中止しました。
メキシコ大統領、トランプ氏との会談中止 国境の壁建設の大統領令めぐり対立激化
製造業の手続き簡素化
元ビジネスマンらしい規制緩和を製造業に対して行いました。
役所の手続きに時間がかかりすぎるのを短縮しようという意図のようです。
中絶などを支援するNGOへの政府からの資金提供を中止
中絶を支援するNGOへの資金提供を中止しました。
宗教的な考え方から来るものなのか、それともそういう考えの派閥におもねるためなのか、人口を増やすためのものなのかよくわかりませんが、時代に逆行する決定だと思います。
連邦政府機関の新規雇用の停止
人が多すぎるから治安維持の部分以外では、政府機関の雇用は停止するそうです。
まともな感覚を持った経営者であれば、たいていのお役所の人数は無駄に多すぎるというのはわかっているでしょうから、減らす方向で考えているのかもしれません。
オバマケア(医療保険制度改革法)見直しへ
とにかく前任者のやったことを否定したがるものですが、オバマがやったことも標的になっています。
まとめ
支持率がすでに非常に低い状態なのですが、その低い支持率もなんとか維持するために、選挙前に約束していたことにとりあえず着手していっているという状態です。
ほとんどの政治家が選挙前に約束したことをまったく実行しないわけなので、ある意味行動力があってすごいのですが、実施する政策の内容がどれも極端です。
他の国との関係性をこんなにも早いスピードでぶち壊していくなんて、今各国の外交担当者は頭を悩ませているところでしょう。