HOME'Sという不動産ポータルサイトで有名なライフル(旧 ネクスト)の人事の羽田幸広さんが書いた組織の作り方を書いた本です。
ネクストさんは存じ上げていたのですが、ライフルという社名に変更されたことは知りませんでした。経営理念に近づけるためにブランドを変更されたようです。
ぼくは人事の仕事をしているわけではないのですが、組織を成長させるにはどうしたらいいかを考えることが多いので、参考になるかと思って読んでみました。
いわゆる大企業に勤務している以外の人事は読む価値があるよい本だと感じたので紹介します。
ビジョンフィットとカルチャーフィット
採用のタイミングでいかに自社とマッチした人を見つけるかが重要なのは言うまでもないでしょう。
入社してもらってから実は自社にあっていなかったとなると、採用する側もされる側もお互いにとって不幸です。
ライフルでは、ビジョンとカルチャーの整合性を第一にチェックして、次にポテンシャル、最後にスキルを見るそうです。
中途採用では即戦力を期待するあまりに、スキルを第一に見てしまう会社が多そうですが、ビジョンやカルチャーへの理解や共感の度合いのほうが長期的に見れば重要です。
これは言われてみればあたりまえなのですが、それを面接など選考の過程で仕組みに反映できているかというとできていなかったので、自分が部門の採用で面接することになったときには意識してみようと思います。
役員が部下から評価される仕組み
ビジョンやカルチャーを最も体現すべき存在である役員が、きちんと模範を示せているかどうかを部下が評価する仕組みがあり、スコアの悪い役員は社長から駄目だしや改善要望が行くとのことです。
役員が率先垂範すべきことが箇条書きにされていて、役員全員の顔写真が掲載されたポスターを社内に貼るといった施策をすることで、従業員全体に意識を浸透させることもしているようです。
従業員を巻き込んで仕組みづくり
ライフルでは、部門横断のプロジェクトをたくさんつくり、有志の従業員を募って改革を進めていくという方法を採用しています。
また、従業員からの提案できた制度もいくつもあるようです。
印象的だった制度が、社内向けのビジネスプランコンテストに大学生や高校生も参加するというものです。
社員以外にもオープンに参加できる場をつくって、社外の意見も取り入れようとするのは良い制度だと思いました。
従業員に定期的にアンケートを取る
働きやすさをアンケートで数値化することで、毎回改善できているかを確認しているそうです。
雰囲気を良くしてやりがいを持って働けるようにするというのは、定性的になりがちで目に見えづらい部分ですが、それをアンケート結果で定量的に見える形にして、改善案を具体化するための材料にするというのは良い方法ですね。
働く人たちの心理的安全性を保つ
心理的安全性を保つとは、上司と大きく異なる意見を表明しても、評価が下がったり仕事から外されたりといったことがないと思える環境のことを指しているようです。
率直に伝えて意見をぶつけ合うことが推奨される組織と、上司の顔色を伺いながら意見があっても黙っている組織では、圧倒的に前者のほうが成功するのは言うまでもありません。
心理的安全性が確保された会社のほうが働きやすいですし、各人の実力を発揮することができます。
人格者を出世させて、成果を出した人間はボーナスで報いる
売上などのわかりやすい成果を上げた人間を出世させるのがよくあるパターンだと思いますが、ライフルでは成果を出した人はボーナスで報いて、出世させるのは人格者にしているとのこと。
人格者でないと周りが働きづらくなったり、ついてこなかったりで組織をつくれないということなのだと思います。
成果は出していても嫌な人だと周りに思われている人が出世していくと、ギスギスした組織になりそうです。
まとめ
管理職になっていて、部下との関係性に悩むことがある人は読むときっと参考になります。
人事に関わることがあまりない人でも、自分がいまいる会社がどんな組織になるとよいかを考えて変えるために動いていくと、働きやすい環境を作ることにつながるでしょう。